はじめに|クロスの基本
本記事では、現代競馬の血統で頻出する「3×3」「3×4」「4×3」という3つのパターンに焦点を当て、それぞれの違いと実戦での活用法を徹底的に解説します。
競馬血統の3×3・3×4・4×3は、クロス(インブリード)配合における血量の違いを示し、3×3が濃い25%、3×4と4×3が18.75%の 「奇跡の血量」とされます。
また、それぞれ異なるメリット・デメリットとリスクを持ちます。
競馬の血統表において、父方と母方の両方に共通の祖先を持つことを「クロス(インブリード)」と呼びます。
例えば「サンデーサイレンスの3×4」は、父方の3代前と母方の4代前にサンデーサイレンスが存在することを意味します。
なお、名馬の遺伝的特徴を子孫に強く発現させる配合手法です。
初心者向け競馬血統のクロス(インブリード)を分かりやすく解説はこちらで解説しています。
- 競馬血統の3×3・3×4・4×3の血量は?
- 競馬の血統のクロスで3×3・3×4・4×3の違いは?
- メリット・デメリットとリスク管理
- 競馬血統の3×3・3×4・4×3で成功した名馬は?
- 競馬血統の3×3・3×4・4×3のよくある質問(FAQ)
- まとめ
競馬血統の3×3・3×4・4×3の血量は?

3×3、3×4、4×3はすべて血統の「濃度」を示す指標です。
特に18.75%の血量を持つ3×4と4×3は、能力と健全性のバランスが最も優れた「奇跡の血量」として知られています。
血統構成では、インブリードの濃度は、共通の祖先から受け継ぐ遺伝子の割合で計算されます。
また、一般的に、血量が濃くなるほど祖先の影響力は強まります。
しかし、同時に虚弱体質などのリスクも増大します。
以下の表は、3つのパターンの血量と、それぞれの一般的な評価をまとめたものです。
| 配合パターン | 血量(計算式) | 通称・主な評価 |
|---|---|---|
| 3×3 | 25.0% (12.5% + 12.5%) | 極めて濃い配合。爆発力はあるがリスクも最大級。 |
| 3×4 | 18.75% (12.5% + 6.25%) | 「奇跡の血量」。父方の影響が強く出やすいとされる。 |
| 4×3 | 18.75% (6.25% + 12.5%) | 「奇跡の血量」。母父の資質を強調する黄金配合。 |
これらの数値は、単なる計算上の割合に留まらず、生産現場における配合戦略や、馬券予想における個体の信頼度を測る重要な指標となっています。
競馬の血統のクロスで3×3・3×4・4×3の違いは?

3×3は、「劇薬」とも言える極端な能力強化を狙います。
対して3×4と4×3は「奇跡の血量」として、名馬の資質を安全かつ効果的に引き出すことを目的としています。
この3×3の配合は、血統表の3代前に同じ馬を配置するもので、血量は25%に達します。
これは4頭に1頭の祖先が同じであることを意味します。
そのため、かつては「血が濃すぎる」として忌避される傾向にありました。
しかし、現代では特定のスーパーサイアーの血を最大限に活かすため、あえてこの「劇薬」を用いるケースも増えています。
一方で、「奇跡の血量」と言われている3×4と4×3は、合計血量が18.75%となる配合です。
この数値は、20世紀半ばの競馬理論家フィッツラックが提唱した「18.75%理論」に基づきます。
また、近親交配の弊害を抑えつつ、祖先の能力を最大限に引き出せる「限界点」とされています。
3×4は父系のスピードを、4×3は母父の底力やスタミナを強調しやすいという特徴があります。
なお、現代の重賞勝ち馬の多くも、このいずれかのパターンを保持しています。
母系の影響についてはこちら。
また、配合理論の詳細はこちらをご覧ください。
メリット・デメリットとリスク管理
配合の選択は常に「リスクとリターンのトレードオフ」であり、生産者は個体の体質を、馬券師はクロスの対象馬が持つ資質の発現傾向を注視する必要があります。
インブリードの最大のメリットは、特定の能力の「固定化」です。
例えば、サンデーサイレンスのクロスは、その代名詞である「強烈な瞬発力」を子孫に伝える確率が高まります。
しかし、デメリットとして「虚弱体質」「気性難」「成長の早止まり」といった問題が挙げられます。
特に3×3のような濃い配合では、これらの欠点が顕著に出や水傾向にあります。
よって、一時期の輝きはあっても早い段階から伸び悩む馬も少なくありません。
また、サンデーサイレンス系独占による日本競馬の影響についてはこちら。
生産者は、3×3を試みる際には母馬の体質が極めて強健であることを前提とします。
一方、馬券予想者の視点では、3×3を持つ馬は「一発の爆発力」を秘めた穴馬として評価します。
そして、4×3を持つ馬は「能力の安定感」を重視して軸馬に据えるのが定石です。
また、リスク管理の観点からは、パドックでの馬体の張りや、レース間隔が詰まった際のパフォーマンス低下に注意を払うべきでしょう。
競馬血統の3×3・3×4・4×3で成功した名馬は?
サンデーサイレンス系の成功例は?
現代日本競馬においてサンデーサイレンスのクロスは成功の鍵となっています。
例えば、4×3からはエフフォーリアのような歴史的名馬が、3×3からはボルドグフーシュのような馬が誕生しています。
サンデーサイレンス血統データベースはこちらをご覧ください。
エフフォーリア
サンデーサイレンスの「奇跡の血量(4×3)」を持つ代表格は、3歳で天皇賞(秋)と有馬記念を制したエフフォーリアです。
彼は父エピファネイア、母父ハーツクライという血統構成です。
そして、サンデーサイレンスのスピードと勝負根性を見事に開花させました。
デアリングタクト
また、史上初の無敗牝馬三冠を達成したデアリングタクトも、サンデーサイレンスの4×3を内包しています。
その圧倒的な瞬発力はクロスの恩恵を強く感じさせるものでした。
ボルドグフーシュ
かつては「濃すぎる」とされたサンデーサイレンスの3×3にでも、近年では成功例が目立ち始めています。
その象徴がボルドグフーシュです。
3×3配合に見られがちな早熟な傾向はあるものの、古馬になってからもGⅠ・GⅡで通用する力を示しており、スタミナと持続力は世代上位です。
他にも、京都新聞杯を制したアスクワイルドモアなど、育成技術の向上により、3×3の能力を維持しつつ体質の弱さをカバーできる可能性を秘めています。
サンデーサイレンス系以外の成功例は?
Northern DancerやMr. Prospectorなどの有力な血をクロスさせることで、歴史に名を残す怪物が数多く誕生しています。
サンデーサイレンス系以外で、3×3、3×4、4×3のクロスを持ち、顕著な功績を残した代表的な馬を以下に紹介します。
エルコンドルパサー(Northern Dancer 4×3)
日本調教馬として初めて凱旋門賞で2着に入った歴史的名馬です。
彼はNorthern Dancerの4×3に加え、SpecialとLisadellという全姉妹の4×4×3という極めて緻密なクロスを持っていました。
この配合が、世界に通用する圧倒的なスピードとスタミナの源泉となりました。
またNative Dancerの4×5(血量9.38%)も加わり、父系主幹のスタミナ基盤を強化していました。
ノーザンテースト(Lady Angela 3×2 37.50%)
日本競馬の近代化を支えた大種牡馬です。
3×3ではありませんが、Lady Angelaの3×2という非常に濃いクロスを持っていました。
この「野心的な配合」が、小柄ながらも強靭な成長力と勝負根性を生み出しました。
そして、10度のリーディングサイアーに輝く原動力となりました。
トキノミノル(The Tetrarch 3×4)
10戦10勝、無敗のままダービーを制して急逝した「幻の馬」です。
なお、彼はThe Tetrarchの3×4のクロスを持っていました。
これは、日本で「奇跡の血量」という言葉が広まるきっかけになったと言われています。
インブリード2×2以上の超近親配合とは?
「危険な配合」の極致とも言える2×2以上の超近親配合は、稀に能力を発揮する個体を生みます。
しかし、同時に極めて高いリスクを伴う禁断の手法です。
通常の3×4(18.75%)を遥かに超える濃度で配合される「超近親配合」の事例も存在します。
ファーガス(ブライアンズタイム 2×2)
父フリオーソ、母シルクブルームーンという配合です。
なお、父、母がブライアンズタイム産駒です。
ブライアンズタイムの2×2という驚愕の配合(血量50%)が成立しました。
これは遺伝子の半分が同じ祖先に由来することを意味します。
しかし、ファーガスは地方競馬で勝利を挙げるなどの実績を持ちます。
この超濃縮された血を力に変えて走っています。
コロネーション(Tourbillon 2×2)
父の父、母の父がともにTourbillonです。
また、フランスの凱旋門賞馬です。
そして、引退後は極度の近親交配の影響か、不受胎や死産が続き、子孫を残すことができませんでした。
マイネルレオーネ(サッカーボーイ≒ゴールデンサッシュ 2×2)
父ステイゴールド、母ウェンブリーという配合です。
2代目のサッカーボーイとゴールデンサッシュは全兄妹にあたります。
よって、父母と母父のクロスを持つ例です。
また、小柄ながら障害重賞で活躍し、濃い血が持つ勝負根性を証明しました。
ニクルークベンセジュバ(全兄妹 1×1)
血統理論上の限界点とされる「1×1」のインブリードを持つ、ポルトガル産のアラブ馬です。
父と母が全兄妹(Cejuba-El-Berana=Ben Jahd)という、これ以上ないほど濃い配合で誕生しました。
また、日本にも輸入され、宮内庁御料牧場で繋養されました。
その特異な血統背景は今なお語り草となっています。
これらの配合は、体質や繁殖能力への悪影響が懸念されます。
よって、現代のサラブレッド生産ではまず行われません。
しかし、こうした極端な事例を知ることで、血統が持つ「能力の固定」と「リスク」の表裏一体の関係をより深く理解することができます。
競馬血統の3×3・3×4・4×3のよくある質問(FAQ)
血統に関する疑問を解消することで、配合の意図や競走馬の個性をより深く理解し、予想の精度を高めることができます。
Q. 競馬で3×3のインブリードは血が濃すぎて危険ではありませんか?
生物学的には非常に濃い配合であり、体質や気性にリスクを抱える可能性は高いです。
しかし、現代の育成環境ではそのリスクを管理しつつ、重賞レベルで活躍する馬も出ており、一定の成功例が見られます。
Q. 競馬の血統のクロスでは、3×4と4×3、どちらがより走る傾向にありますか?
統計的な優劣は付けがたいですが、現代競馬では「母父」の質が非常に高いため、母父の資質を強調する「4×3」からエフフォーリアのような大物が出る傾向が強まっています。
Q. 「奇跡の血量」であれば必ず活躍するのでしょうか?
いいえ、血統はあくまで可能性の提示です。
両親の相性や、育成牧場での教育、厩舎の仕上げなど、多くの要素が噛み合って初めて名馬は誕生します。
Q. なぜ最近の競馬では、サンデーサイレンスの3×3の血統のクロス増えているのですか?
日本競馬界にサンデーサイレンスの血が普及しすぎたため、クロスを避けた配合(アウトブリード)を組むことが物理的に困難になっているという背景があります。
Q. 馬券で狙い目のクロスパターンはありますか?
「4×3」は人気馬でも信頼度が高い傾向にあります。
また、「3×3」は人気薄での激走や、逆に人気での凡走という極端な結果になりやすい傾向にあります。
よって、配当妙味を狙うなら3×3が面白いでしょう。
Q. 競馬の血統のクロスで3×3の馬は早熟で終わってしまうことが多いですか?
その傾向はあります。
しかし、近年は古馬になっても成長が続く馬も見られます。
なお、血統だけでなく、馬体や調教の進捗を併せて判断することが重要です。
まとめ
3×3・3×4・4×3の違いを正しく理解することは、現代競馬の複雑な血統戦略を読み解き、馬券の的中率を向上させるための強力な武器となります。
本記事で解説した要点を以下の3点に整理します。
- 血の濃さとリスクの比較:3×3(25%)は爆発力重視の「劇薬」になります。
そして、3×4・4×3(18.75%)は能力と健全性のバランスを追求した「黄金比」です。 - 目的別の配合選択:父系のスピードを活かすなら3×4、母父の底力を引き出すなら4×3。
そしてリスクを承知で最大のリターンを狙うのが3×3という戦略的違いがあります。 - 馬券予想への活用:クロスの対象となる祖先(サンデーサイレンス等)のどの資質が強調されているかを見極めましょう。
そして、個体の体質や気性と照らし合わせることで、より精度の高い予想が可能になります。
血統は競馬のロマンであると同時に、極めて論理的なデータでもあります。
これらのクロスパターンを意識することで、1頭の馬が持つ背景や、レースで見せる走りの理由がより鮮明に見えてくるはずです。
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